写真; 環境省 「放鳥トキ情報」09/01/07
正月2日夜、NHKのゴールデンタイムに、モーターパラグライダーの第一人者の撮影になる日本各地の鳥瞰風景が「何という絶景・・・」のナレーションとともに放映された。雪に覆われた知床を俯瞰しながら荒れた海、絶壁、雪山と流れる画面は初めて見る絶景で感動を呼ぶ事は確かだ。雪の林にエゾシカの群れが移動する。モーターグライダーの爆音が追い散らしているのだが、美しい画面では爆音が消してある。
かつてシルクロードの草原に放牧された駿馬の群れが駆けめぐる画面が放映されたことがあった。爆音を消したお茶の間では一服の麗しい絵だが、逃げまどう馬にとっては晴天の霹靂であったはずだ。
空撮は佐渡に移る。赤松の並木を上空から、冬でも朱鷺(トキ)のエサを確保するために水を湛えた美しい棚田はなめるような超低空でカメラは動く。現在は8羽しか居ないため此の画面にトキは現れない。勿論、爆音は消してある。
此の撮影を環境庁は許可したのだろうか。50年の歴史を持つ保存運動に携わる現地農民は協力したのだろうか?。グライダーの愛好者は複数だ。パラグライダーにはは飛行の自由があるだろう。今回の飛行をトキの繁殖期に真似する、或いは営巣中のスクープ写真を撮りに来る者が無いという保証はないのだ。勿論爆撃飛行を伴って。
放送終了後直ちに私は撮影者のホームページにメールを送った。10日経っても反応はないので、佐渡市役所にメールのコピーを送り、何らかの飛行制限について問い合わせをしたが18日現在何の反応もありません。佐渡では関係者の苦労の末に漸く放鳥された朱鷺に間もなく繁殖期が始まります。
参考までに私のメールのコピーは「続きを読む」をクリックして下さい
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* 多胡氏に当てた小生のメールに関し、09.02.16、担当の方から、
「佐渡の空撮についてはNHK新潟支局を通じて、朱鷺の放鳥前に撮影する条件で許可を取って行っており、大正池にについても同様」と電話連絡を頂きました。
多胡 光純 様
素敵な映像のかず数、新年の初頭を飾るひとときに感動。
感想とお願いを一言。
1,大正池の映像で「ああ・・何という絶景・・・」のナレーションとともに静
かな湖面に枯れ立ち木を映し出した直前に、爆音に驚いた一羽の鴨が画面下
右隅に逃げ去ったシーンをご記憶でしょうか?
2,鴨を朱鷺(とき)に置き換えてみて下さい。あなたは佐渡の空を撮りました。
営巣するかもしれないという赤松の立木を上空から、エサ場となる冬でも水
を湛える美しい棚田を超低空で紹介しました。
3,今は9羽しか放たれていないので驚いて逃げる朱鷺は撮されませんでしたが、
一旦恐怖で巣を離れた朱鷺は、エサ場を恐怖と摺り込まれた朱鷺は2度と赤
松の枝に、泥鰌の棚田に戻らない可能性は否定できないのです。
4,多くの人々の50年に及ぶ保護活動で漸く自然に放たれたものの1羽は、下
あごの強い狸の餌食になりました。あなたのワンショットも、地域住民の多
くの善意と費用を費やした一羽に狸のあごの代わりとなるかもしれません。
5,尾瀬ヶ原に草紅葉のシーンでは「環境省と地元の了解の下に・・・」でした
が、佐渡の朱鷺保護センターも犠牲を払って無農薬水田を維持する農民も、
此の撮影に本当に協力したのでしょうか?
6,朱鷺が絶滅する直前、ある放送局は数羽の朱鷺の飛翔する姿を「最後に残さ
れた貴重な映像・・・」と称して撮影時のヘリコプターの音を消して誇らし
げに放映しました。朱鷺は恐怖におののいて逃げまどっていたに違いないの
に。
こういう心ない過剰報道が絶滅に力をかしたことは間違いありません。
7,人気抜群、影響力の大きいあなたは番組の中で
「どうしても撮りたいと想いますが、決して撮らないところも在ります。
佐渡と豊岡です。朱鷺とコウノトリの自然に影響があるからです。モーター
グライダーの自由にも自ずから規範を科して居ます。視聴者の皆さんにも、
静かに放っておくことの大切さを理解していただきたいのです」
と語りかけていただきたかったのです。どんなに素晴らしいメッセージに な ることでしょうか!!
多くの自然番組のなかで、既にコンセンサスを得ていると想われる、釧路・
出水の鶴、宮城のガンなどとはまたた異なる接し方の教示になるでしょう。
失礼を顧みず新年の希望とお願いでした。どうぞ宜しくご高配頂けますよう
お願い申し上げます。
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